「在る」①
「在る」とはなんでしょうか。「在る」は必ず、「在りつづける」ことを意味するように思えます。「一寸先は闇」という諺の通り、私たちには一瞬先に起こることを、想定することはできても確信することは決してできません。だから、ものが「在る」ことは、その瞬間瞬間に初めて取得できる情報なのです。私たちが普段使う「在る」という動詞が指すのは、今もこの今も在りつづけている、という連続的な情報です。ヴェイユは次のように記しています。
一般論として、この瞬間、眼のまえに存在しない事物について考えるときはかならず、その事物は破壊されたかもしれぬと想像せねばならない。
まさに「一寸先は闇」の意味するところです。「在る」、すなわち「在りつづける」ことは、在ることを確信する一瞬の連なりのうちに成立しています。
(参考)